前回の記事を書くために「人生で大切なことは泥酔に学んだ」を読み返したのですが、非常に面白かったのでまた記事を書こうかと思います。さすが、著者の栗下直也氏はさすが”酔人研究者”だけはあります。酔っ払いの機微をよくとらえていらっしゃいます。ご自身も飲まれるみたいなので、一度ご一緒したいものです。私も飲酒と読書というめっちゃネクラな趣味なので。
さて、作中では色々な武器が出てきます。「酔っ払いの話なのに、武器ってなんだ?」って話ですが、酔っ払いのなかには、酔うと気が大きくなりまたは凶暴性が増し武器などを振り回す、といった実に迷惑千万な方が結構いらっしゃいます。作中に出てきた武器を列挙します。
真剣、拳銃、素手、裏拳、ビール壜、一升瓶、大砲、などなど。
まあ偶然近くにあって凶器っぽいものならなんでもいいんですね。大砲が近くにある状況はどうかと思うのですが。つーか、周囲の人達全力でとめなさいよ。
酔っ払いのとる行動もまた独特であり、ちょっとした狂気を孕んでいる。
ピアノを壊す。銃撃する。ボコボコにする。ボコボコにされる。刀を振り回す。駅のホームから落ちる。逮捕される。干される。全裸になる。各種脅す。家を破壊する。民家に押し入り酒を飲む。試合中に吐く。刺される。コップを食べる。
人間の心の闇と、この世の奇行が集まった闇鍋といったところですね。
それにしても昔は警察に酔っ払い専用の宿泊施設があったんですね。カプセルホテルしかないわたくしスナの世代からすると羨ましい限りです。しかもこの本に出てくるのは当世一代の剛の者達ですから、ホテル感覚で警察に泊まったり、駅に泊まったりしている。ああスナも酔っ払いの端くれとして一度でいいから泊まってみたかった。
ディズニーファンが一度でいいから東京ディズニーランドホテルに泊まってみたい、と憧れるのと同じ感覚です。
とまあ、酔っ払いの奇行エピソードを楽しむのもいいですが、やはり賢しい読者諸君たるものいざご自身の身に起きた場合を想定して先人から学び、ご自身の健やかな酔っ払いライフに役立てて頂きたいものです。
繰り返しますが、この本は酔っ払いにとって含蓄がとてもある本です。勿論、酒を辞めればそんな含蓄の一切は不要でしょうが。私にとって一番心に響いた一文を紹介してこの稿を終わりにしたいと思います。本文から抜粋します。
「スポーツ選手はもちろん、サラリーマンでも踏ん張らなければならない局面がある。逆にいえば、いざという時に酒に目もくれずにふんばれれば、普段は十時間だろうが呑み続けてもいいのかもしれない。やるからには徹底してやる。人生、長い視点でのメリハリが重要なのだ」